BECに関するQ&A

BEC試験に関する質問や悩みをQ&A方式で並べています。ぜひ参考にしてください。

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目次

Management accounting (管理会計)

Q1: 伝統的原価計算とActivity-based costing; ABC(活動基準原価計算)の違いを教えてください。vol.1

A1: FOHの従来の配賦基準である、DLH・DL$・MHは、経営者が「えぇィ!!いろいろ考えていても面倒くさいからMHにしてしまえ!」といった感じでどれか一つに決め打ちしているものです。経営者が自由裁量で決められます。

その他の配賦基準を選ぶことも可能です。しかし、一つを決めたらそれを継続することは必要です。さもないと継続性の観点から会計基準違反になり得ます。

しかし、様々な費目がある(構成される)FOH全体を一緒にして、だた一つの配賦基準で配賦してしまうことは無理があるというのがABCの着眼点です。

製品Aと製品Bを生産している工場建屋の減価償却費(FOH)は、DLH・DL$・MH等と言ったものではなく、製品Aと製品Bのproduction lineの専有面積で配賦した方がよさそうです。

製品Aと製品Bに搭載されている部品の調達業務を担当している購買マンの人件費(FOH)は、DLH・DL$・MH等と言ったものではなく、生活分析により、当該購買マンの業務時間が製品Aと製品Bにそれぞれ何時間消費されたかを配賦基準とすべきでしょう。

同様に、製品Aと製品Bに用いられる金型交換時間に関して発生する間接労働者の人件費(FOH)は、DLH・DL$・MH等と言ったものではなく、製品Aと製品Bの金型交換回数で配賦した方がよさそうです。

ABCによれば当然FOHの配賦が精緻になり、より真実の原価に近づき得ます。しかし、ABCの方が原価(FOH)の把握に手間がかかるという難点もあります。経営者によっては、「そこまでしなくてもいいわ!」という方もおられるでしょう。

補足ですが、従来の配賦基準であるDLH・DL$・MHを使って計算すると、計算結果は異なることが通常です。

Q2: 伝統的原価計算とActivity-based costing; ABC(活動基準原価計算)の違いを教えてください。vol.2

もっとも重要なポイントは、

1: FOHは雑多な費用である。
2:この雑多なFOHを、伝統的原価計算のようにたった1本の配賦基準で配賦するのは「おかしい」。よってABCはこれを改善する。

の2点です。

ABCでは雑多なFOHの一つ一つの費目について、最適なcost driver を見つけるということです。

ちなみに、「製造量」をcost driver にすることは、寡聞にして聞いたことがありません。
製造量に応じて原価が発生するというのは、当たり前のことであり、論じる意味がないからです。

物を生産するとなると、いろいろな原価が発生します。直接費あり、間接費ありですよね。
これらのさまざまの原価を製品に集計するのが原価計算である。その製品が複数生産されるのなら、製品に原価を集計するとは、同製品の製造量に原価を集計することになる。

以上から、製造量を用いてFOHを配賦する、という表現には違和感があります。

Q3: GAAPとGAASをいつも間違えて答えてしまいます。
おそらく、違いを理解出来ていないのと、使い分けのポイントが分かっていないからだと自分では思うのですが。

A3: GAAPは会計(経理)のルールであり、GAASは監査のルールと考えたらいいでしょう。

GAAP = Generally Accepted Accounting Principles(一般に認められた会計原則)

GAAS = Generally Accepted Auditing Standards   (一般に認められた監査基準)

Product costing (製品別原価計算)

Q1: Joint cost = CGM = CGS  と考えてよろしいのでしょうか?

A1: 期ズレを考えないのであれば、そう考えてもらって結構です。

CVP Analysis (CVP分析)

Q1: 「貢献利益率 = 1 – 変動費率 」という根拠が分かりません。

A1: 変動費率 = 変動費 ÷ 売上高 というのはご存知だと思います。

こう考えてみてください。

                              Sales    $1,000                                                                                                       –   VC     $ 600      60%                                                                                               CM     $ 400      40%

BECの試験では、とにかく手を動かして簡単な図や数式を書いてみてください。文章を読んで、頭の中で計算するより、とりあえず図にしてみた方がいいと思います。

USCPA試験科目の中でBECが一番、本試験でホワイトボードを使うはずです。(ホワイトボーが無くなったらスタッフの人を呼んでどんどん新しいホワイトボードを貰いましょう。)

しかも公式を覚えていたら解ける問題がほとんどです。数学というよりは、算数に近い内容ですよね。

Q2: 貢献利益は管理会計、特に意思決定会計においてどのように重要なのでしょうか?

A2: 例えばこのようにお考えください。

あなたはWebデザイン会社の社長で、会社の事務所の家賃は毎月40万円。他に10万円以上で買ったパソコンの減価償却費が月に8千円かかる。

今、ここで、12万円で顧客仕様のWebデザインを1週間で納入できるなら買う、というオファーを受けた。

あなたは、当初、家賃に40万かかっている。1週間の家賃でも10万かかる。Webデザインを1週間で完成させるには時給3千円でアルバイトを30時間雇う必要がある。

3千円×30時間=9万円

10万円+9万円-12万円=7万円の赤字だ、と当初考えた。

パソコンの減価償却費の1週間分も考えると赤字は7万2千円になってしまう。

しかし、あなたは、

「いや待てよ、家賃は、このWebデザインを受注するか否かに関係なく発生する固定費であり、意思決定から除外すべきである、同様に減価償却費も除外すべき」と気が付いた。

そして、このWebデザインを受注すれば、12万円-9万円=3万円の現金が手元に残るではないか、ということまで気が付いた。

つまり、この3万円が貢献利益であり、3万円÷12万円=貢献利益率(0.25)である。
この貢献利益率は変動費率9万円÷12万円=0.75を1から引いて 1- 0.75 =0.25 と求められる。

このように、貢献利益は管理会計、特に、意思決定会計においてとても重要です。

Q3: High-low method (高低点法)で気を付けないといけないポイントは何ですか?

A3: 2点あります。

1つめは、「操業度とは何か?」という論点をきちんと把握することです。操業度とは生産量や作業時間のことですよね?

変動費率を計算する場合は、

変動費率=最高点の原価ー最低点の原価÷最高点の生産量ー最低点の生産量

この式の「最高点」とは一体何の最高点かというと、ずばり「操業度」の最高点ということです。※原価の最高点と最低点ではありません。

例えば、以下のような資料があるとします。

Month Order Cost
April 1,200 $3,100
May 1,210 $3,050
June 1,800 $3,850
July 1,780 $3,900

この場合の、最高「操業度」はJuneの1,800であり、最低「操業度」はAprilの1,200です。

よって、変動費率=(3,850-3,100)÷(1,800-1,200)=$1.25/order となります。

つまり、Cost(原価)の$3,850 と$3,100が選ばれています。Cost(原価)の数字だけ見ると、一番高い数字はJulyの$3,900で、一番低い数字はMayの$3,050になりますが、選ばれていません。

ですので、必ずしも最高操業点が、原価が一番高い数値で、最低操業点が、原価が一番低い数値になるとは言えません。

2つめは、「正常な操業度」を考慮するということです。

問題文にあらかじめ、「正常な生産量は300個から500個までである」と書かれている場合は、それ以外の生産量の数字は一切無視することになります。(正常な範囲外になるので)

USCPAの試験対策としては、1つめの「操業度とは何か?」「最高点とは操業度の最高点のことである」と覚えておくとよいでしょう。

Static budget (固定予算)

Q1: 「固定予算とは1つに固定された生産レベルに基づいて作成される予算である」「1つの操業水準での予算である」と説明があるのですが、これはどのように具体的にイメージすればいいのですか?

A1: 操業度は、一般に生産レベルや直接労働時間、機械稼働時間などで把握されます。

変動費や直接費は生産レベルに「比例」して増減するはずです。

これに対して、FOHは通常固定費であり、操業レベルが変動しても変動しないのが一般的です。

具体的に例を挙げてみます。                             製造原価の中のFOHである出張旅費を考えてみます。

購買部門の従業員が、部品メーカに価格交渉に行く出張旅費や外注先と品質・仕様を打ち合わせに行くための出張旅費などがあります。また、労務部門も臨時工の採用や次期の人員手当てのために、本社に出張に行くこともあります。

操業度レベルが変動しても、来期の出張旅費予算は例えば八百万円、とするのが固定費です。

これに対して、生産量が上がってくれば、おのずと、購買部員が頻繁に部品メーカーに打ち合わせに行ったり、臨時工採用のための相談に労務部員の本社出張が多くなる可能性があると考えられるので、操業度レベルに合わせて出張旅費の予算を変動させるというのが変動予算です。

一般的に考えれば、固定予算というのは、融通が利かないようであり、変動予算の方が合理的なようにも感じられます。

また、工場の出張旅費はある程度操業度レベルに応じて変動するという見方も成り立ちそうです。

しかし、私の経験では、日本の製造業では出張旅費の予算は、一般的には固定予算であるといえます。予算をオーバーしてしまうと、伺いを立てて、追加で予算を認めてもらうしかありません。

Cost Information for Decision (意思決定の為のコスト情報)

Q1: 「短期的な意思決定においては、固定費は無視される」とあるのですが、これは一体どういう意味なのでしょうか?

A1: ここでの固定費とは、社員の人件費、設備や建物などの固定資産を指していると考えてください。

1年以内の短期の経営判断で、急には増減することができません。特に、人件費は重要で、景気の回復や市場の動向など外部環境次第で経営状況も変わることがあり、短期でコロコロ増やしたり減らしたりはできません。そういう状況を想定して問題を解くようにしてください。

Return On Assets ; ROA (総資産利益率)

Q1: ROA = Net income (当期純利益) ÷ Total assets (総資産)だと思うのですが、総資産を「平均総資産」と考えるのはどうしてですか?

A1: このように考えてください。

ROA = 当期純利益(I/S)÷ 平均総資産(B/S)

AssetとはB/S上に表現される項目なので、常に一定時点のモノであるからI/S(一定期間、通常は1年間)と比較する時は、年間の数字に修正して計算することが好まれます。

分子が「期中を通しての数字」であるなら、分母も期首と期末の平均を取るのが整合的と言えます。

Working capital management (運転資本管理)

Q1: √(ルート)の計算方法が分かりません。というか忘れてしまいました。どうしたらいいでしょうか?

A1: 思い出してください(笑)

しかし!!

実際のUSCPAの試験ではルートの計算を自分でホワイトボードなどを使って解いてしまうと、時間がかかってしまいますよね?

そこで、電卓を使ってください。

電卓の機能の中に√(ルート)があります。

時間をなるべくかけないように、回答をしていきましょう。(出典:AICPAサンプルテスト

Q2: Current ratio は理解ができました。しかし、Quick ratio が分かりません。何がどう違うのですか?

A2: Current ratio = Current assets / Current liabilities

Quick ratioは、Current ratioの分子からInventoryやPrepaid expensesを除いたものになります。それらは、その他のReceivableやMarketable securitiesに比べCashに変えるのが時間がかかるとみる人が多いためです。

Quick assets = Current assets – Inventory(すぐに換金できるとは限らない)

本当に「Quick」にCashに変えることができるものだけを厳選しているのがQuick ratioになります。もし、そのInventoryが陳腐化されていたら、一生現金化されないかも知れませんよね?

より厳しくみたレシオとお考えください。

Q3: 運転資本の管理においては、「流動性が上がれば、収益性は下がる」「収益性が上がれば、流動性が下がる」というTrade-off の関係が成り立つと思うのですが、何がConservative (保守的)で何が Aggressive (攻撃的)なのかが分かりません。

A3: “conservative”と”aggressive” との違いは相対的なものであり、境界線を示すのは容易ではありません。事例で判断し、その積み重ねでイメージを積み重ねていくのがいいと思います。

Investment decisions (投資意思決定)

Q1: 各年「50 50 50 50」と「80 60 40 20」と償却する場合では、累計減価償却額は同じになると思うのですが、後者のように初期により多く償却している方がその分、節税効果としてのキャッシュ・フローが早い段階で多くなり、そのことがどうして内部利益率が高いことになり、また同様にNPVの値も高くなることに繋がるのでしょうか?

A1: 内部利益率もNPVもお金の時間的価値に着目した計算になっています。

その意味は、10年後に100万円貰うより、今100万円貰うほうが価値がある、ということです。例えば、今100万円貰えば、それを元手に国債を買うとすると、10年後には必ず100万円以上になって戻ってきます。

同じように、減価償却費が大きく計上できると、損金が大きくなることで利益を押し下げ、支払う税金が減額され手元のキャッシュ大きく残ることになります。これが、内部利益率、NPVを大きくします。

先ほど述べた10年後の100万円というのは、例えば利率を10%と仮定すれば、1 + r = 1.1 なので、

現在価値→1,000,000 ÷ (1.1 ^^10 ) = 1,000,000 ÷ 2.59 = 386,100

仮に5年後であれば→1,000,000 ÷ (1.1 ^^ 5) = 1,000,000 ÷ 1.61 = 621,118
というように変わります。

※(重要)BECの投資分析の問題では、FARで勉強した「現在価値」の概念を使う問題が頻出ですので、必ず再度復習しておいてください。

Q2: ARR(ROI)の公式を見ると、分母が「簿価ベースの平均投資額 or 初期投資額」となっており、2種類のどちらからでも選んでいいようになっているのは理解が出来たのですが、簿価ベースの平均投資額と初期投資額が異なることがあるだなんて、まさか予想だにしていませんでした。

A2: 期初と期末の簿価が分かって平均値がつかえる場合は平均値を使えばいいですが、実際には期末の簿価が分からない、あるいは期間の設定ができない(これらは期初の時点でよくあることです)場合があり、そうした場合には初期投資額を充てるという考え方でいいです。

試験問題で考えれば、平均簿価が計算できるようなら平均値を使い、平均値の計算をするためのデータが揃わない場合は、初期投資額を使うと考えればいいでしょう。

Tax shield (節税効果)

Q1: 例えば旧設備の売却などにより損失が出ているのに、節税効果(tax shield )が考慮されています。これは他の取引で利益が出ている分を節税できるという認識でいいのですか?

A1: はい。おっしゃる通りです。

古い設備の売却などで損失が生じても、他の事業で利益が出れば、会社としては利益を減らすことで法人税を減らすことになり、キャッシュ・フローが改善します。

仮に他の事業でも損失が生じていても、繰り越しで翌期以降のキャッシュ・フローの改善になる可能性があります。

Q2: キャッシュ・フローを考える問題では、常に簿価ではなく、税法上で考えていく、ということでいいのでしょうか?会計上で考えるのではなく、あくまでも「税法上」で考えていけばいいのでしょうか?

A1: キャッシュ・フローを考える問題では、常に簿価ではなく、税法上で考えていく、というわけではありません。

「会計上 vs 税法上」で考えるのではなく、何がキャシュ・フローをもたらすかという観点で考えることが必要です。会計上の簿価はゼロでも、会計上の損失がある場合、その損失には税
金は掛けられず、むしろ他の事業の利益と合算することで節税効果が生じます。

逆に利益が生じた場合は税金の支払いという形でキャッシュ・アウトになります。

Q3: scrap salvage value of $5,000などの「scrap」は一体どのように訳せばいいのでしょうか?「salvage value」 だと「残存価額」かな?と思うのですが、この「scrap」という英語がつく場合の残存価額のニュアンスがよく分かりません。

A3: 「scrap」は「廃棄」の意味で考えればいいと思いますよ。

Q4: 投資分析の問題においてキャッシュ・フローを考えるにあたっては、特に指示がなくても節税効果を加味して解答すればいいのですか?

A4: はい、原則として節税効果を加味します。

理由としては、それが現実的であるとともに、試験問題としても理解を確認するために出題されがちになります。ただし、試験に出題される時は、税金情報がなければ対応する必要はありません。損金には税金はかかりません。(会計では繰越の考え方はあります。)

Q5: 減価償却による節税効果を問われる問題で、「1年目の減価償却費」を計上することはあるのでしょうか?(初年度年頭には考慮する必要はないのですか?)

A5: 設備投資を行うと(借入れを別にすれば)、費用の支出は最初の一時だけです。そのまま損益計算をすると、初期の費用と利用期間中はタダということになってしまい、現実的ではありません。

そこで導入されるのが、減価償却費であり、利用料のようなイメージで考えればいいと思います。最初の減価償却費は利用開始後ある一定の期間(1年)を経過した後となるのが普通です。

なお、初期の支払い時一般に利用開始前なので、1年目の中とはみなさないのが一般的です。

Q6: 「費用に関して節税効果が生まれる」とはどういう事ですか?

A6: 費用そのものに節税効果があるのではなく、費用を損金計上することで、利益を減少させるために、税負担が軽くなることを意味しています。

つまり、

費用計上 > 利益減少 > 税負担軽減

ということです。

Cost of capital (資本コスト)

Q1: マーケット・リスク・プレミアムとはどのように理解すればいいでしょうか?

A1: 「株式投資に対するリターンが無リスクである国債投資に対するリターンをどの程度上回っているか?」を計算したものです。

全くリスクの無い国債への投資からリスクのある株式市場に投資するので、プレミアムを乗っけるよ!ということで、まさにこの「プレミアム」こそが、「マーケット・リスク・プレミアム」になります。

CAPM (資本資産評価モデル) の公式は、Ki = Kf + β (km – Kfとなりますが、ただ公式を暗記するのではなくて、きちんと意味を理解しておかないと実際の試験で問題を解けないことがあります。

Kfとは無リスク利子率のことですが、 「無リスク利子率とは一体何なのか?」まで理解しておく必要があります。

無リスク利子率(Kf)とは、誰が投資してもリスクがゼロで同じリターンを得られるレートのことで、通常20年物、つまり長期国債の利回りを使うのが一般的である、とまで理解しておいてください。

Q2: r = D/PV + g(配当成長モデルの公式)の「r」は、投資家の期待収益率と言ったり、普通株式コストと言ったりしているのですが、どちらが正しいのですか?

A2: ここで意味するところは、「r」 の計算式は、その会社の発行株式の、株価、配当、配当成長率から、「いくらの利息を株主に与えうるか」を算出するものであり、それはその会社の普通株式コストということになります。

Q3: 法人税率の増加がなぜ「負債の割合を増加させる」のかが分かりません。法人税率のtが増加すると、Cost of debt=rd×(1-t)が下がってしまうのではないのでしょうか?

A3: 資金調達の手段は2つに大別されます。
1.債券による資金調達(debt financing)
2.株式発行による資金調達(equity financing)

発行した後で、債権者、株主に支払う費用はそれぞれ、利息、配当となります。
1.負債→利息→損金算入→支払税金削減
2.株式→配当→損金不算入→税金削減効果なし

となるために、法人税率が上がると、債券発行の方がより有利になります。

Q4: マーケットリスク・プレミアムについては理解ができましが、インフレ・リスク・プレミアムについてよく理解が出来ません。これは一体どういう意味なのでしょうか?

A4: インフレ・リスク・プレミアムは、名目と実質の金利差、将来のインフレにかかる不確実性を表す指標として使われます。

例えば、今後一年のインフレ率が1%だと想定していても、実際1.5%だった場合、この差異である0.5%はリスクですよね。この分をリスク=プレミアムと呼ぶわけです。

マーケット・リスク・プレミアムもお考えのとおりで問題ないです。実際のファイナンスなどではもっと複雑で奥が深いのですが、試験上これらの数式だけ覚えておけば問題ありません。

T BillとT Bondの違いは、国債の期間です。T Billは短期国債と呼ばれており、償還期間が52週以内です。T Bondは長期国債と呼ばれており、通常10年以上のものです。ちなみにこれらの間にTreasury Noteもあり、これは中期国債で、2-10年ものとなっています。

Securities in capital market (資本市場で取引される証券)

Q1: 「ワラントの発行が負債のコストを下げる」というのは、具体的にはどのようなロジックが働いてそのようになるのでしょうか?

A1: ワラント債は、一定期間に所定の価格で一定数の株式を買受する権利を持つので、株が値
上がりしたら、株式を購入し、逆に株がそこまで値上がりしなければ、債券として満期を迎えればいいので、損をするリスクは減ります。その分、満期までの利息は低く抑えられているので、そのことが「負債のコストを下げる」ことになります。

Ratio analysis (比率分析)

Q1: 「ファイナンスにおけるレバレッジとは、総資産における有利子負債依存度のことである。有利子負債に依存すればするほど、リスクが高まるが、これと引き換えに金利分の節税効果が得られ、企業価値を高められる。」とあるのですが、どのように具体的にこの状況をイメージすればいいのでしょうか?

A1: ここでおっしゃる「企業価値を高める」とは、負債を利用すると、投下した自己資本に対する利益率が高まる、すなわち株主にとってのリターンを高める、と考えると理解しやすいかと思います。

「有利子負債に依存するとリスクが高まる」については、確かにリスクが増えてとても危険な感じがしますね。上記は負債を返済できなくなるリスク等については一切考慮していない理論上の話であって、実際には負債比率が高い財務状態の会社が資金を借入するのは困難でしょうし、負債比率が高まれば、例えばリーマンショックのような出来事が起きた時には、資金繰りに窮する可能性が高くなります。

よって、

「企業価値を高める」についても、理論上は企業は借金をすればする程、企業価値を高めることができる、と言えるのかも知れないのですが(黒字企業はレバレッジを高めれば高めるほど自己資本に対する利益率が高くなり、自己資本を効率的に運用出来ていることになるのですが)、大きな経済危機が発生したりすると、借入金の約定返済が出来ずに破たんするリスクも高いと言えます。

なお、有利子負債増加に関するリスクについてなのですが、一般的なコーポレートファイナンスの視点ですと、無借金で鉄壁の財務を誇るよりも、むしろ適度な借入を行って、成長分野に投資をすることで自己資本に対する利益率を高めていくべき、と言えるかと思います。

Macroeconomic (マクロ経済学)

Q1: GDPを算出する際に、Business profit (営業余剰) ではなくて、Business profit before tax (税引前営業余剰) を用いる理由はどうしてなのですか?

A1: GDPは「市場で表示したときの価値」を示すものなので、間接税などの税金を含んだ金額で表示されます。

その他、Compensation to employees (被雇用者所得)も税金を支払う前の金額を用います。

所得アプローチ(Income approach)によるGDPの計算式を使う時などは、ぜひ気を付けてください。

Risk management (リスクマネジメント)

Q1: Collable bondとはどういう物で、それがどうして、会社にとって金利リスクを低減することにつながるのでしょうか?

A1: bondは、投資家にとっては金利収入を得られる金融商品であり、満期まで保有して金利収入を全て受け取る、というのが一般的です。

bondは、発行者側にとっては、資金の調達であり、満期までその資金を利用する、というのが一般です。

bondは、通常大きな金額で発行され、発行者にとっては支払金利負担が軽いに越したことはありません。

bondの金利支払い利率(クーポンレート)は、通常固定金利支払いです。このため、市場金利が下がってくると、過去の高い金利の時に高い固定金利支払いのbondを発行した企業は「しまった。俺達は、早まってbondを発行してしまった。もっと待っとけば、安い金利支払いの社債を発行できたのに・・・」と悔やむかもしれません。

この様な状況があり得ることを勘案して、企業が、「繰り上げ償還があり得るタイプの社債」を発行することがあります。これは、社債を発行する際に、発行企業が投資家になる人たちと契約を交わし、「この社債は、満期に至るまでに、当社が償還(社債を払い戻して期日前返済してしまうこと)することがありますよ。ただし、償還する際には一定額のpremium(償還補償金)を投資家にお支払いします。」と約束することです。

金利収入を期待する投資家としても、「償還があり得ることが最初に知らされており、かつ、premiumも受け取れるのであれば、いいだろう。」と理解してくれます。

過去の高い市場金利の時に高い固定金利のcallable bondを発行した企業は、市場金利が下がってくれば、premiumを支払ってでも高い金利のcallable bondを期日前償還してしまって、もっと低い支払金利のbondを発行した方が、総合的に金利支払いが減る、と考えた時に、繰り上げ償還(期日前償還)条項を適用して、当該callable bondの期日前償還を社債保有者に呼び掛けることになります。

callとは「呼びかける」ですから、繰り上げ償還を投資家に呼びかける(事前の約束に基づいて要求する)、ということになります。

Financing Decisions (資金調達の意思決定)

Q1: Preemptive right(先買権)とはsubscription right(新株引受権)という理解でいいのでしょうか?

A1: 同じものと考えて構いません。

新株を発行すると株数が増えるために既存の株主にとっては株主の権利が薄くなってしまうので、あまりうまみはありません。それでも新株引受権を行使すれば、新株発行に比例した株式を購入することができるので、希釈化を避けることができます。

Q2: 余裕資金を使って、自社株を買い戻すと現金が減る代わりに、それと同額の資本も減るとあるのですが、その内容が理解できません。

A2: 自社株の買戻しについては、FARで「自己株式」(Treasury Stock)の会計処理について勉強することと思います。

会社は自ら発行した株式を資本効率を上昇させる等の理由から株主から取得することがあり、この取得された株式を自己株式と言います。自己株式は議決権を持たず、また配当も行われないことが普通株式と異なります。

このように株主としての権利が認められていないため、実質的には資本の払い戻しが行われたことに他ならないため、資産として計上せず、資本からの控除項目として表示することになります。

仕訳としては、次のようになります。

(Dr) Treasury stock
(Cr) Cash

このように自社株買いをすることで、市中に流通している株式が減少することとなり、株主にとっては配当が増えるといったメリットがあり、会社としても株主が限定されるというメリットがあります。

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