REGに関するQ&A

REG試験に関する質問や悩みをQ&A方式で並べています。ぜひ参考にしてください。

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目次

Tax Accounting (税務会計)

Q1: 認定受領(constructively received)とは「受領する事が可能な状態は、認定受領となる」と理解しておけばいいでしょうか?また、elect という英語は「受領する」と捉えることが出来るのですか?

A1: 認定受領の定義は、「現金主義を採用している納税者が制約なく現金等を受領できる場合」で、その代表的な具体例として、以下の2つの例が挙げられます。

①期日の到来した債権の利札
②納税者の代理人が納税者に代わって現金を受領した場合

また、electという英単語の意味なのですが、「選ぶ」という意味合いで捉えていただき、elect to take onlyで、takeのニュアンスを考慮すると、「~だけ受領していたと」いう意味合いになると考えられます。

(例)elected to take only $50,000.→「$50,000だけを受領していた」

Gift and Estate Taxation (連邦贈与税と連邦遺産税)

Q1: Revocable trust とは Grantor trust のことなのでしょうか?

A1: 撤回可能信託(revocable trust)は、信託を撤回する権利を有しており、信託収益に対して実質的な支配権を留保しています。よって、信託の課税は委託者(grantor)に対してなされることになります。

換言すれば、Grantor trust も信託収益に対して実質的な支配権を有しており、信託の課税は委託者(grantor)に対してなされるので、委託者が死亡した場合は委託者の総遺産額(gross estate)に含まれることになります。

Q2: Irrevocable trust とはそもそも設定者(Settlor)が一番強いのですよね?受益者(beneficiary)の意見を伺う必要はあるのでしょうか?

A2: 「信託は常に設定者の意思のみで撤回または変更を行うことができる」というようにすると、法律関係が極めて不安定となります。受益者の債権者が、受益者の受益権に担保権を設定している場面を想像すればわかりやすいでしょう。
その為、法は、「信託は、常に設定者の意思のみで撤回または変更を行うことができる」ようにしたいのであれば、設定者はその権限を予め留保しておかなければならない(撤回可能信託としなければならない)、と定めています。

撤回可能信託=Revocable trust と言います。

Q3: 贈与税の計算で年次控除(annual exclusion)の適用を受ける事例はどのように覚えたらいいでしょうか?

A2: 確かにたくさんの例があると思いますが、一般常識で判断してください。

例えば、

・Down payment on house (自宅購入の頭金)

・College tuition (大学の授業料)

・Vacation trip  (休暇旅行)

などが挙げられます。

尚、Annual exclusion (年次控除)は、受贈者1人当たり年間 $14,000 まで控除ができます。

Q4: Alternative valuation method  (代替評価法) の所有権が移転された日のFMVとは、故人の死亡日の6ヵ月後のFMVという解釈でいいのですか?

A4: 「代替評価法を選択した場合、故人の死亡日の6ヵ月後、又は実際に遺産を処分した日のいずれか早い日におけるFMVで評価する」ということは理解していますよね?

確かに問題によっては、きちんと 6 months after the decedent’s death などと分かりやすく問われることばかりではないと思います。

例えば、

The property was retitled to A by the executor 6 months after B’s death.

→当該不動産はAの死後6か月後に、遺言執行人によりBに所有権が移転された。

などと表現されることもあります。

しかし、聞かれている論点は

1、被相続人の死亡日の6ヵ月後、

2、実際に遺産を処分した日、

のうちいいずれか早い日におけるFMVで評価するということです。

「所有権が移転された日のFMV」=「故人の死亡日の6ヵ月後のFMV」という解釈で正しいと思います。

USCPAの試験では英語の質問の仕方もバラエティーに富んでいますので、1つ1つ身に付けていきましょう。

Q5: 「遺産の評価は、故人の死亡日におけるFMVで行う。しかし、遺言執行人(executor)等は、その選択により総資産額が減少して遺産税が減少する場合は、代替評価法(alternative valuation method)を選択することができる。」、とあるのですが、遺産税が減少するという事はそもそも遺族にとってはとても良い事ではないのでしょうか?どうしてわざわざ代替評価法を選択しなければいけないのでしょうか?

A5: 遺言執行人(executor)等は、その選択により総遺産産額が減少し、遺産税が減少する場合は、代替評価法(alternative valuation method)を選択することができます。

そのため、遺産財団が支払う連邦遺産税を軽減するために、上記の場合には遺言執行人は代替評価法を選択することがあります。

ご指摘のとおり、「遺産税が減少すること」は、代替評価法を選択するメリットの一つになります。

また、被相続人の遺産(資産、負債)の整理(権利、義務関係などの確認など)に時間を要する場合、相続人を特定するのに時間がかかる(遺族間の協議など)場合なども、代替評価法を選択する理由の一つになります。

なお、代替評価法は、総遺産額が減少して遺産税額が減少する場合のみに選択することができる点に加えて、代替評価法の選択は撤回不能である点、個別の財産ごとの選択は不可である点も確認するようにしてください。

S Corporation (小規模会社)

Q1: Pass through (パススルー) と Distribution (分配) の違いが分かりません。

A1: 小規模会社は租税主体ではないため、会計年度末に通常所得を各株主に対して、その持株割合に応じてパス・スルーします。(実際の分配はなし)

株主側は、Pass thru (パススルー) された通常所得を個人の総所得に算入すると共に、保有株式のbasisをその金額だけ切り上げます。
その理由は、仮に株主が株式を売却して利益が発生した場合、Pass thru (パススルー)された部分(課税済み)が二重課税されるためです。

そして、小規模会社から分配(distribution)があった際に、株主側は、保有株式のbasisをその分だけ切り下げます。
株主側は、Pass thru (パススルー)された時点で課税されているので、分配時には課税されません。

この論点は暗記するよりも理解をしてください。

Trusts and Estates (信託と遺言)

Q1: 減債基金とは一体なんですか?Googleで検索してみたのですが、分からなかったです。

A1: 減債基金とは、会社が発行した社債の返済原資に充当するため、内部留保、又は信託によって積み立てる基金です。

社債を返済すると、その残高が減少するので、「減債基金」という名称となっています。

Q2: 「信託は、原則としてある人間の存命期間に加えて21年間までの期間でなければならない。」とあるのですが、これは一体どういう意味ですか?

A2: 「永久拘束禁止則」、「信託は、原則としてある人間の存命期間に加えて21年間までの期間でなければならない。」の考え方ですが、一般に自然人の存命期間(一生)に一定期間(21年間)を加えた期間、信託が存続することを想定しています。

なお、この期間は、各種の信託(Spendthrift,Totten,Constructive)の設立目的を考慮して定められています。

Individual (個人)

Q1: depletion と amortization の違いがよく分かりません。

A1: Depletion とは油田、ガス田、山林、鉱山など採掘、伐採をすれば減耗していく天然資源の償却方法です。償却方法は2つあります。

1、コストメソッド

2、パーセンテージ・メソッド

以上の2つの方法で算出された償却額の大きい金額を償却額として控除します。

続いて、Amortization とはIRC (内国歳入法)197条による営業権など一定の無形資産の償却法です。無形資産を取得した納税者は、取得月から15年間で償却することが出来ます。

197条資産に含まれるものはコチラです。

Q2: Money market account とは一体何ですか?

A2: Money market Accountとは、連邦政府の保険付き預金口座のことです。

流動性が高く、通常、月に3回まで小切手の振出が出来る上に、償還期限が1年未満の短期証券に的を絞って運用しているため、安定性も高いことが特徴です。

また、Money market Fund (MMF) とは異なり、連邦預金保険公社 (FDIC) の保険も付いています。しかし、利回りが非常に低くインフレにより投資元本が目減りするリスクがあります。

Q3: Dividend on listed corporation stock は stock dividend (株式配当)になるのではないのでしょうか?

A3: 「listed corporation stock」とは「証券取引所に上場している会社の株式 」という意味ですから、「Dividend on listed corporation stock」とは「証券取引所に上場している会社の株式に対する配当」と言うことであって、「stock dividend(株式配当)」と言うことではありません。

したがって、「Dividend on listed corporation stock 」はgross incomeに算入される「dividend income」になります。

Q4: Dividend on stock と Stock dividend の違いが分かりません。

A4: 「Dividend on stock」は、株主に対する配当(現金、資産など)なので、原則、株主は課税されます。しかし、資本の払い戻しの場合は非課税扱いとなります。

「Stock dividend」は、一般に株式配当を意味します。この場合、配当前後で株主が保有する株式の総basis(価値)が変わらない場合は、非課税扱いとなります(株主)。なお、この場合は、付替計算(1株当たりの単価が下がります)をする必要があります。

Q5: 投資利息の控除は、投資純利益の金額まで控除が可能であり、控除できない部分は、無期限に繰り越すことが出来るとは一体どういう意味でしょいうか?

A5: MC問題やTBS問題ではあまり出題されていないみたいですが、きちんと理解することはいいことだと思います。

例えば「納税者の20×1年度の利息収入」とは、「納税者が20×1年度に受取る利息の総額」を意味し、「納税者の20×1年度の投資純利益」とは、「納税者が20×1年度に受取る利息の総額から、債券購入のための借入利息以外の費用を差し引いた金額」のことです。

この「債券購入のための借入利息以外の費用」には債券購入のために証券会社等に支払う手数料などがあります。

したがって、「受取利息$1,000」、「証券会社などに支払う手数料$100」とすれば「投資純利益」は$900(=$1,000-$900)であり、控除出来るこの債券の購入のための支払利息の限度は$900です。

ちなみにですが、Form 1040上では、「受取利息」は1頁8a行「Taxable interest」の欄に、「支払利息」はSchedule A の14行目「Invest interest」欄に記入します。

「投資純利益」については特に記載する欄はありません。

ここで1つ例題を挙げてみますね。

(例題)

An individual taxpayer earned $12,000 in investment income, $10,000 in noninterest investment expenses, and $5,000 in investment interest expense. How much is the taxpayer allowed to deduct on the current-year’s tax return for investment interest expenses?

(回答)

Investment interest expenses (投資利息) は、Net investment income (投資純利益) の金額まで控除できますね。投資純利益は$2,000($12,000-$10,000) なので、投資利息$5,000のうち$2,000まで控除できます。控除できない$3,000は無期限に繰越すことができます。

答え:$2,000

「$5,000」としてしまうと、間違いです。

Q6: 適格団体に対して property を寄付した場合も一定額を控除できると思うのですが、土地は Tangible personal property ではないのでしょうか?

A6: 確かに土地はTangible property ではあります。しかし、Tangible personal property ではなく、Real estate (Fixed property) なので、「その他」に該当して、FMVで評価します。

”Tangible”とは「触って認識できる、有形の」という意味ですから、”Tangible property”とは、触って認識出来る自動車、飛行機、建物、土地、機械・設備等があり、触っても認識出来ない”Intangible property ”には、有価証券、特許権などの各種権利があります。

適格団体に対してProperty を寄付した場合の評価については必ず解けるようにしておきましょう。

また、どのような団体が適格団体で(War veterans’ organizations,Church,synagogue など)、どのような団体は適格団体に含まない(Chambers of commerce, Labor unions など)のかをきちんと整理しておきましょう。

Q7: Work related test とは一体何ですか?

A7: 「納税者が収入を得るために下記世話に費用がかかること」という意味です。

英語で覚えてしまってもいいかも知れません。

It is that expenses are incurred on behalf of a qualifying individual and that it enables the taxpayer to be gainfully employed or look for work.

例えば、13歳未満の子どもや病気や障害などを持っていて身の回りの用を足せない配偶者や扶養家族のケアの為の費用を発生させること(シッターさんを雇ったり、ヘルパーさんを雇ったり)によって、自分自身が仕事が探せたり、仕事に就ける、ということが要件の1つになるということです。

ちなみに、上記の世話に要した費用は、納税者のAGIに応じて基準額の20%~35%税額控除可能です。

さらに、税額控除金額は AGI が $15,000 以下の場合は基準額の35% (MAXの控除額) を控除できる、ということも一緒に覚えておきましょう。

Q8: service company とは一体何ですか?棚御資産が無い会社とも言える、と聞いた事があるのですが?

A8: 「service company」とは、顧客に対してサービス(役務)の提供を行い、その対価として売上を計上するビジネスモデルの会社です。

すなわち、小売業、卸売業、製造業とは違って在庫を持たないビジネスモデルになります。

具体的には、会計事務所、コンサルティング会社などが挙げられます。

税務上、現金主義を採用する納税者に発生主義を強制適用するのは、棚卸資産を有するビジネスを行う場合になります。

Q9: 18歳以下の子どもの不労所得の部分で、「不労所得の獲得に直接関連する項目別控除の金額」というものが出てくるのですが、これは具体的にはどのような控除のことを言うのでしょうか?

A10: まず、前提として「18歳以下の子どもの不労所得(unearned income)は、不労所得から①標準控除と、②標準控除の金額と不労所得の獲得に直接関連する項目別控除の金額の大きい方、の合計を差し引いた所得に対して、親の税率が適用される。」という事は理解していますね?

その上で、具体例を挙げるとすると、例えば不労所得の一つに賃貸所得があります。

賃貸不動産を購入するために借入をしている場合、その支払利子、固定資産税などが、不労所得の獲得に直接関連する項目別控除に含まれることになります。

Q10: Disability insurance premiums (高度障害保険、所得補償保険)は医療費なので、控除できるのではないのでしょうか?

A10: 確かに一見すると、控除出来そうな感じがしますね。まず、Disability insurance premiums が一体どういうモノであるのかを知っておく必要があります。

この保険は高度の障害を負った時に医療費だけではなく、得ることが出来なくなった所得をカバーする為の保険でもあります。したがって、医療に関係ないモノに対しても保険金が支払われるというものです。

Disability insurance premiums は通常、医療に関係しないものを含むものである為、特に断りがない限り、控除の対象とはなりません。

Q11: 健康保険(Health insurance)と医療保険(Medical insurance)とは同じものなのでしょうか?

A11: はい。

「Health insurance (健康保険)」も「Medical insurance (医療保険)」も、同じものです。

よって、医療費として控除可能です。

別表Aの「Medical and Dental Expenses」という部分で控除ですね。

Q12: 災害および盗難損失(personal casualty and theft losses)の計算の場所で「floor」という英語が出てきて、Casualty nonpercentage floor(in dollars)という表現も出てきたのですが、これは一体どういう意味ですか?

A12: 「floor」というのは、控除から除外する部分のことを言います。

「災害及び盗難損失の控除可能額」は、部分損の場合は生じたFMVの減少額、全損の場合はその資産のadjusted basisから、保険等で補填された金額を差し引き、更に$100を差し引きます。この控除から差し引かれる$100を「$100 floor」と呼びます。

また、保険などで補填される為、差し引かれる(insurance)も「insurance floor」と呼べるでしょう。

更に、「Casualty nonpercentage floor (in dollars)」と訊いていますが、「災害及び盗難損失の控除可能額」は(第1段階)で$100を差し引き、(第2段階)で(10% of AGI)を差し引いていますが、パーセンテージではなくドルで差し引くのは、(第1段階)の$100ですから答えは$100となります。

このように控除において「floor」とは控除から差し引く(控除出来ない)部分を指します。

Q13: 税金が還付される(refund)税額控除は、低所得者税額控除(earned income credit)だけなのでしょうか?

A13: 試験対策としては、そのように覚えても差し支えないと思います。

earned income credit (低額所得者税額控除)は個人のみが利用可能で、法人は利用できないことも合わせて覚えておきましょう。

「子女養育費税額控除」や「外国税額控除」を含め、他の税額控除は税金が還付されない税額控除であると言えます。

Q14: Medicare BとかMedicare Dなどは補足的な医療保険ということで控除の対象になると思うのですが、Medicareとはそもそも何なのですか?何となく医療費控除なのかな?とは想像は出来るのですが。「Medicare」という単語が出題されたら、医療費控除となる、と覚えてしまえばいいのでしょうか?

A14: そうですね。Medicare税の支払額は、Part(区分)の如何に関わらず、課税所得から控除することが出来ます。

すべての論点を深く追い求め過ぎるとキリがありません。そして、全部覚えることも不可能です。

Medicareに関しては実際のCPA試験において、「Medicareについて正しく説明している選択肢を選びなさい」というような質問が出題されることは、ほぼ無いと思いますので、試験対策としては「Medicare というものは控除することができる」と覚えておくといいと思います。

もっと重要な論点をしっかり、じっくりと学習をしてご自身の骨肉となるように身に付けていってくださいね。

Q15: 「外国所得税については会社の選択により項目別控除による所得税額(deduction)としてでも税額控除(credit)としてでも利用可能である」とあるのですがこれは個人の場合でも個人の選択により、itemized deduction か credit の選択が出来ますよね?

A15: はい。可能です。

Q16: 予定納税の支払いもitemized deductions として控除が可能なのでしょうか?

A16: 州税の予定納税分は、連邦税のEstimated taxのように、支払時に控除できないということではなく、州税の確定分と同様の取り扱いで、支払時に控除することができます。

予定納税した州税は、Schedule A上は確定した州税と同様にState and local income taxesの欄に記載されます。

現金主義の納税者の場合、州税については予定納税で支払った分も確定申告分も支払時に控除できる点を覚えておけば問題ないと考えられます。

Q17: Cost of insuring household goods and personal effects during move(移動中の家財の保険料)は控除可能であるという理由は何ですか?

A17: 試験上の対策の仕方としては、時間を投入していけばキリがない為、引っ越しに「直接的に必要な費用、必ず必要になる費用」は「控除可能」と大きなイメージを持ったうえで、覚えていけば十分対応できると考えられます。

Q18: custodial fees on an IRA (IRA管理費用)は控除可能になるのでしょうか?

A18: IRAの管理費用は、Miscellaneous deductions として控除可能で(above the lineのIRAのDeduttionとして控除するわけではない)、他の雑控除と同様に2%超過分のみ控除できる点を押さえておけば十分と考えられます。

IRA管理費用が控除可能な根拠は、IRAの積立の一定額が控除されるからそれに付随するものとして控除されるというよりも、IRAは老後の年金のための資産運用としての役割を持つことから、「所得を生むための費用」に該当するためです。

custodialは、ご理解のように資産を管理・維持するという意味合いで、資産管理・資産保全等と解していただければ結構です。

Q19: effective tax rate(実効税率)ではなくて、marginal tax rate(限界税率)を使う理由は何ですか?

A19: 所得の金額に応じて適用される税率が高くなることを累進税率といい、それぞれの段階で適用される税率を限界税率といいます。

一方、税額合計を所得金額で単純に割ったものを実行税率といいます。

仮に、所得が700で、各段階の税率が以下の場合には、35%が限界税率(所得が500以上の場合の適用税率)、31%(219÷700)が実行税率となります。

所得レンジ 適用税率 税額
100~200   30%   60(200×30%)
300~400   31%  124(400×31%)
500~    35%   35(100×35%)
税額合計 219

実行税率は税額合計を所得で割ったものであり、平均化したものであるため、限界税率、すなわち今、所得が発生した場合に適用される税率がわかっているのであれば、それを用いて計算することでより正確な税負担額が計算できます。

Partnership (パートナーシップ)

Q1: 適格人的役務提供法人とは、一体どのような法人ですか?

A1: 適格人的役務提供法人(qualified personal service corporation)とは、具体的には、大手会計事務所、弁護士事務所など顧客にサービス(会計、税務、法律)を提供して、フィー(報酬)を得ている法人になります。

その他には、各種経営コンサルティング会社などをイメージすると分かりやすいと思います。

Q2: Schedule K の項目の中に、1:「Ordinary business income(loss)」と4:「Guaranteed payments」が含まれている理由は何でしょうか?どうして、Separated item ではない項目がわざわざSchedule K の中にあるのでしょうか?

A2: ご存じのようにパートナーシップ自体は、租税主体ではありまんが、Form1065による情報申告が義務付けられています。

その理由は、パトナーシップからパススルーされた損益、保証支払額を、各パートナー(個人)の段階で正しく申告(Form1040)しているかどうかについて、IRSがチェックするためです。

したがって、Schedule Kで、「Ordinary business income(loss)」と「Guaranteed payments」を情報申告することになります。

Q3: Form1065 で計算された Ordinary business income (通常所得)が Schedule K-1 では各パートナーに「Self-employment income (自営業者所得)」として計上されています。どうしてこうなるのでしょうか?

A3: 「そもそもパートナーシップとは何か?」を考えてみると答えは簡単だと思います。

パートナーシップを構成するパートナーはまさに「経営者そのもの」だと思いませんか?パートナーシップの稼ぎはパートナーの稼ぎになりますよね。だから、Form1065 で計算されたパートナーシップの通常所得(Ordinary income)が Schedule K-1 では各パートナーの自営業所得(Self-employment income)として計上されます。

ちなみに自営業者所得ですが、英語では「Self-employment income(loss)」だけではなく、「Self-employment earnings(loss)」と言うこともあります。

Q4: 事業が継続する過程における含み益を有する棚卸資産(appreciated inventory)の分配(distribution)は、それを受け取ったパートナーのパートナーシップの持分のBasisを減少させる、と勉強したのですが、含み益を有しない棚卸資産(unappreciated inventory)の分配だと、どうなるのでしょうか?

Q4: A nonliquidating distribution of unappreciated inventory reduces the recepient partner’s basis in his partnership interest.

が、答えです。

答えは、パートナーシップから Property の分配を受けたパートナーは、その Property が含み益を有しようが有しまいが、その Property の Basis だけパートナーシップ持分の Basis を減額調整します。

Q5: ゼネラル・パートナーがリミテッド・パートナーの地位を兼ねるとはどういうことですか?

A5: ゼネラル・パートナーは業務執行者で、リミテッド・パートナーは投資家(資金を出すだけで自らは業務を行わない)であることが本質です。

パートナーシップが非常に大きな利益をあげた場合、リミテッド・パートナーは投資持分に応じて莫大な利益の分配を得られます。株式会社で例えると、業績が好調な会社の株主が多額の配当を受けられるのと同じです。

そのためゼネラル・パートナーが「私も投資するから利益の分配にもっとあずからせて欲しい」と考えることもあります。それを認めようとするのが、ゼネラル・パートナーがリミテット・パートナーの地位も兼ねるということです。

株式会社でいうならば、取締役や執行役が会社の株式を購入して株主にもなる、ということと同じであると言えます。

ゼネラル・パートナーも自ら投資するのであれば、リミテッド・パートナーにとっても「ゼネラル・パートナーも事業の成功に自信があるのだろう」と安心できることになります。

ゼネラル・パートナーがリミテッド・パートナーの地位も兼ねた場合、ゼネラル・パートナーとしての無限責任は継続します。(リミテッド・パートナーの地位を兼ねたからといって、ゼネラル・パートナーとしての無限責任を免れるわけではありません。)

Q6: 「Passive loss もアット・リスク・ルールと同様に損失の制限規定の適用を受ける」とは一体どういう意味でしょうか?

A6: 「passive loss」とは、「消極的活動(passive activity)」から生じた損失を言います。
そしてご存知の通り、「passive loss」は「passive income」からしか控除することが出来ません。

「passive lossも損失の制限規定の適用を受ける」とあるのは、このルールを指しています。

[このルールを適用した具体例]

納税者Aはリミテッド・パートナーシップから$5,000のincomeのpass throughを受けた。自分の経営する自動車販売業からは$10,000ののincomeがあったが、賃貸事業は$10,000の損失であった。

[Aが認識する損益] 賃貸事業の$10,000の損失はpassive lossなので、non passive activityである自動車販売業のincome $10,000と相殺することは出来ません。
一方、リミテッド・パートナーシップからpass throughされた$5,000のincomeは、passive incomeですから、$10,000のpassive lossと相殺し、残った$5,000(=$10,000-$5,000)のpassive lossは無期限に繰り越すこととなります。

Q7: Be a member of a tiered structure.とはどういう意味ですか?

A7: 「tiered structure」とは「重層構造」という意味です。

直訳すると、「重層構造のメンバーになる」なのですが、このままだと意味が分かりませんよね。

このようにお考えください。

パートナーシップのパートナーは通常個人ですが、例えばAパートナーシップがBパートナーシップのパートナーであることもあり得ます。
このような場合、このBパートナーシップは「tiered structureである」と呼ばれます。そして、Aパートナーシップは「a member of tiered structureである」と呼ばれます。

Corporation (株式会社)

法人所得税に関する内容です。

ポイントは、個人所得税との相違点、及び財務会計と税法の違いとなります。

会社では財務会計上の利益と課税所得との間に差異が生じてしまいます。その差異は、Schedule M1~3で調整します。

加算・減算項目を把握して、計算できるようになる必要があります。

Q1: 受取配当金控除(DRD)の控除制限規定について、具体例を用いて説明してください。

A1: A社はB社株式の20%の株式を所有し、配当金$120,000を受け取った場合を考えてみて下さい。この場合、A社はB社株式の20%の株式を所有しているので、80%のDRDが適用されます。

まず、配当所得(dividend income)の80%を全額控除した場合に、欠損金(net operating loss :NOL)が生じるかどうかを確認します。

なお、A社の総収入$390,000、事業経費$400,000とします。

総収入:$390,000

配当所得:$120,000

事業経費:($400,000)

課税所得:$110,000

仮のDRD=$96,000(※) (※)$120,000×80%

差引:$14,000>0

上記より、NOLは発生していないので、控除制限規定が適用されます。この場合、DRD、欠損金控除(NOL deduction)および資本損失の繰戻し(capital loss carry back)を含める前の課税所得(taxable income)の80%までしか控除できません。

よって、$88,000(=$110,000×80%)まで控除することができます。

Q2: 受取配当金控除(DRD)は Form 1120 のどの部分に出てくるのでしょうか?探しても見つかりません。

A2: DRD (Dividend Received Deductions) という項目があるわけではありません。Form 1120 のDeductions の中にある29 b の Special deductions という部分に控除する金額を記入します。

流れとしては、

1、すべての受取配当金をいったん 4 Dividends に記入する。

2、DRD(受取配当金控除)を29 b の Special deductions に記入する。

※勝手にoff set(相殺)をしないように気をつけてください。

別表M-1ではなく、Form 1120 の「別表C Dividends and Special Deductions」という配当のための特別な表を設けて調整するのは、持分20%以下、20%から80%の普通株式/優先株/外国株式からの配当、借入金により購入した株式からの配当など、内訳を細かく記載させるためです。

Q3: 法人の代替ミニマム税(Alternative Minimum Tax)の制度について教えてください。

Q3: 法人の代替ミニマム税は、当初は個人の高額所得者の課税逃れについて、一般の個人納税者との不公平を是正するために制定され、1982年に法人にもAMTが導入されました。

試算税額(tentative minimum tax )を計算して、それが通常税額(regular tax)を超える場合、その差額部分を代替ミニマム税(AMT)として支払う必要があります。

Q4: NOL (欠損金) とは会社にとってどのようなメリットがあるのでしょうか?

A4: 欠損金(Net Operating Loss)は、ある課税年度の控除額(税務上の費用)が総所得よりも大きい場合に発生します。

欠損金の繰り戻しとは、当該課税年度の欠損金を過年度(2年間)に繰り戻し、過年度に課税所得が発生してる場合、その課税所得と相殺することにより、すでに支払った税金が還付される(戻ってくる)ことを意味します。

“Carried back 2 years, carried forward 20 years to offset taxable income.”

→2年の繰戻しと20年の繰越。

納税者(法人)にとっては、今期は欠損金が生じて会社の経営状況が厳しい(資金繰りが厳しくなるなど)ので、過年度に支払った税金が還付されることは、キャッシュフローの面においてメリットになります。

また、欠損金の繰り越しをすることにより、翌年以降、会社の業績が良くなり、申告時に税金を支払う場合、過年度から繰越された欠損金と課税所得を相殺することにより、節税が可能になり、または本来支払う税金を設備投資などに活利用できるなどのメリットがあります。

Q5: 貸倒引当金は税法では控除がされない項目となる根拠を教えてください。連邦所得税・寄付金(10%の控除制限を超過した部分)・純資本損失などの控除が認められないということは理解できました。

A5: M-1で加算する項目ということですよね?税会計では、財務会計のように発生が予測される費用・損失を控除することが出来ません。費用・損失が実際に発生した時点で初めて控除することができます。

したがって、税会計には引当金という概念がありません。

財務会計→Allowance method

税会計→Specific charge off method

※実際に貸倒れた特定の(specific)債権のみをwrite off できる。

Q6: Gain Realized と Gain Recognized は何がどう違うのでしょうか?

A6: 考え方としては資産を処分(売却)した場合と同じになります。

実現利得(Gain Realized)は、①実現総額(Amount Realized)と②現物出資した資産の(adjusted basis)を比べて、①が②を超過する部分になります。
(売却取引の場合、売却益が発生する場合をイメージして下さい)

→Realized gain or loss = Property FMV – Property Basis

次に、認識利益(Recognized Gain)は、税務上、納税者が課税される利益を意味します。

一般に株式会社への出資(現金、現物)は資本取引であるため、税務上、損益を認識しません。その理由は、全ての資本取引に課税すると、納税者の申告手続の煩雑さ、また課税されるため自由に資本取引ができないなど経済活動に不都合が生じるためです。

しかし、例外の場合もあります。

例えば、現物出資において会社から交換差金(現金、異種資産)を受領する場合、出資資産の付いている負債の額が資産のbasisよりも大きい場合などは、出資者側で一部、利益を認識します。尚、異種資産(nonlike-kind property)のことは交換差金(boot)と言います。

試験対策としては、原則、例外の場合を区別してマスターするようにして下さい。

Q7: 会社が株主に配当することを怠り、必要以上に会社にお金を貯め込むことはどうしていけないことなのでしょうか?

A7: 法人が利益を留保すると一般に法人の株式価値が上がり、本来 Dividends:配当所得(Ordinary income)されるものが、株主の売却による資本利得(Capital gain)として認識される懸念があります。

個人の「配当所得」は通常税率で課税されますが、個人の「資本所得」は1年超保有している場合は「長期資本所得」として、通常税率より低い優遇税率が適用されます。

したがって、「配当所得」として課税するよりも「資本所得」として課税する方が税収が少なくなる可能性があります。

その他、会社が株主に配当をすれば、株主はその資金を消費に回し、経済が活性化するだろうという期待もあります。

Q8: 「現金の拠出については課税はない」という根拠は、一体何になるのですか?

A8: 純資産が増えた場合に、増えた部分に課税する仕組みになっていますが、現金出資の場合、現金から株式に投資形態が変わったのみで、純資産としては増えていないため課税がなされません。

以下、純資産が増えているかどうかという点で3パターンを記述いたします。

①労働と引き替えに株式取得(労働を出資、役務提供)
働いた見返りに資産(現金や株式)を取得。給与分だけ純資産が増えているので課税。

株式(資産)120/給料収入(益金)120

②現金を出資
現金を株式に交換。純資産はトータルでは増えていないので課税なし。

株式(資産)100/現金(資産)100

③機械を出資
機械を株式に交換。機械の場合、現金と異なり購入時よりも機械の時価が上昇することがある。その場合、結果的により高い価格の株式を取得でき、純資産は含み益分だけトータルで増える。増えた部分(含み益部分20)に課税する。

株式(資産)120/機械(資産)100
/売却益(益金)20

※Sec351の規定は、理屈上は上記のように含み益20を認識すべきですが、現物出資した人が株主の多くを占める場合には、実質は、②のように機械から株式に投資形態が変わっただけで投資は継続しており、投資を現金回収しているわけではなく、税金も納めることができないので、含み益を認識しないというルールです。

Transaction in Property(資産取引)

ポイント1:「資本資産(capital assets)とは何か?」を正確に答える事が必要になってきます。

ポイント2:「Basisを制する者は、REGを制する」とも言われるくらいなので、basis の算定方法を確実に身に付ける必要があります。税法上の損益の計算にあたっては、必ず basis が必要となります。

Q1: 実現損益と認識損益の違いは何ですか?

A1: Propertyの処分がされた場合、その処分により実現されることとなった金額の総額である、実現総額(amount realized)から、処分時点における納税者によるpropertyへの投資額をあらわすbasis(投資基準額)を控除することににり、実現損益(realized gain or loss)が計算されます。このようにして計算された実現損益のうち、税法上で認識することとなった損益のことを認識損益(recognized gain or loss)と呼びます。

実現総額(amount realized)・・・資産の処分に伴い受け入れた価値の総額

実現利得(realized gain)・・・・資産の処分に伴い発生した利得金額。実現総額から対応する basis を減算して計算する。

認識利得(recognized gain)・・・実現利得のうち、税法上認識する利得金額。すなわち納税者の総所得に算入される(課税される)部分の金額。

Q2: 著作権 (copyright) は通常利益になるのでしょうか?資本資産でもなく、1231条でもない通常資産の覚え方が分かりません。

A2: 資産には「通常資産」、「資本資産」、「事業用資産」(1231条資産は事業用資産の1つです)があります。「通常資産」とは「資本資産」・「事業用資産」以外の資産であり、その処分により得た利益が「通常利益」と覚えてみてはいかがでしょうか?

ちなみに、著作権 (copyright) は通常資産なので、その売却による利益は「通常利益」になります。

例えば、個人資産の災害による利得 (Casualty gain) を考えてみてください。

テキストなどに詳細がなかなか無いと思いますが、「保険会社に資産を売却して得た利益」と考えれば「資本利得」として納得がいくのではないでしょうか?

本試験では、何が capital gain(資本利得)になって、何が ordinary income (通常利益) になるのかをしっかりと答えることが出来るようになっておきましょう。

Q3: recaptureするとは一体どういう意味なのでしょうか?

A3: 「処分により認識される利得のうち、過去の減価償却部分にについては通常所得として扱う」とテキストなどに記載があると思いますが、この「過去の減価償却部分にについては通常所得として扱う」ことが「recapture」という意味です。

例えば、購入価格$10,000の償却性動産を3年後償却によりbasisが$7,000になった時点で、$11,000で売却したとします。

この時実現した利得は、個人納税者の場合、
$11,000-$7,000=$4,000
の「長期資本利得」ですが、これをそのまま「長期資本利得」として認識し、低率の税率が課せられるわけにはいきません。

1245条により、この実現した$4,000の利得のうち原価償却部分に相当する$3,000は通常所得として認識し、残りの$1,000は長期資本利得として認識します。

このように、本来長期資本利得として認識すべき利得のうち、減価償却による利得の部分を通常所得として認識することを「recapture」と呼びます。

Q4: 「優先株式に対して分配された株式配当は、例外的に課税される。」とあるのですが、問題によっては優先株式に対して普通株式が配分されていたり、優先株式に対して優先株式が配分されていたりします。どちらの場合もBasisが増えると理解すればいいのでしょうか?とても困惑しています。

A3: 何も困惑することはありませんよ。

優先株式である原株式に株式配当される場合は、株式配当される株式が普通株式であろうと、優先株式であろうと課税されます。したがって、株式配当された株式のbasisは、配当された時点でのその株式のFMVとなります。即ち、原株式と株式配当された株式を合わせた全体のbasisは増加します。

以下の通り覚えてみてください。
(1)株式配当は基本的に非課税。但し、優先株式に対する株式配当は課税。
(2)非課税の場合は株式配当後の原株式と新株式のbasisは、株式配当前の原株式のbasisを原株式と新株式の株数を按分して求める。
(3)課税の場合は原株式のbasisは元のままで、新株式のbasisは配当時点でのその株式のFMVである。

Q5: 費用の認識のズレがどのような結果を引き起こすのか?支払う側が発生主義の場合は「キャッシュを支払わなくても期間の経過によって費用として控除できる」一方、受け取る側が現金主義の場合は「キャッシュを受け取らない限り収益にはならない。」そこで「2人が結託してずっと費用を支払わないようにしよう!」というのはダメ、と説明にあるのですがこれは例えば具体的にはどのような状況、ケーススタディーのことを指すのでしょうか?

A5: まず、支払者が現金主義、受取者が発生主義をそれぞれ採用し、両社が関連納税者に該当する場合、「費用の認識は現金主義」に基づいて行われることになります。

「2人が結託してずっと費用を支払わない」場合、受取者(現金主義)の基準に併せて、支払者(発生主義)は費用を認識します。すなわち、実際に支払をするまで、支払者は費用を認識することができません(現金主義)。

この場合、支払者が節税を意図(費用認識することにより、課税課税所得を圧縮)していても、実際の支払時点まで費用認識できないので、その目的を達成できないことになります。

この考え方が、本規定の趣旨になります。

Q6: 贈与者側のBasisが、贈与時点の公正な市場価格(FMV)よりも小さい場合(Basis<FMV)、受贈者のBasisは基本的に贈与者側のBasisを引き継ぐことになるということは分かりました。この場合は売却により、利得が発生しても損失が発生しても贈与者側のBasisを引き継ぐのでしょうか?

A7: 贈与者側のBasisが、贈与時点の公正な市場価格(FMV)よりも小さい場合は、受贈者のBasisは贈与者側のBasisを引き継ぐことになります。

なお、贈与後の売却により、利得が発生したり、損失が発生する場合がありますが、受贈者のBasisの考え方は、上記ルールに従うことになります。

※Basis>FMVの場合は、売却で利得が出た場合と損失が出た場合とでは、計算の仕方が違うので注意をしてください。

Q7: 現物報酬として株式が使われている場合は、どうしてFMVで評価されるのでしょうか?有価証券の売却と同じように受け取った株式をFMVで評価する!(受け取る人にとってのBasis)と覚えてしまえばいいのでしょうか?

A7: なぜ受けとった資産のBasisをFMVで評価するかについては、資産を買ったときにその時のFMVで評価するのと同じと考えていただければ結構です。

つまり、役務提供を受けた人にとっては、自身の簿価とその時のFMVとの差の含み益20については、役務提供と引き換えに株式を渡すときに課税されているため(以下の設例の仕訳を参照ください)Basisの定義である「Basisとは資産価値のうちに既に課税が住んでいる価値を表した額である」からすると、この課税済みの含み益20を含んだFMV120が課税済みの部分であり、したがって、役務提供をした人のBasisはFMVになると考えられます(言い換えると、仮に、役務提供を受けた人のBasis100で引き継いでしまった場合、含み益20に対して、役務提供を受けた人の段階の課税と役務提供をした人の段階の課税とで二重課税になってしまいます。)

<設例>

役務提供を受けた人の株式簿価:100
その時のFMV:120

・役務提供した人

株式 120 /収益 120

・役務提供受けた人

費用 120 /株式 100
/売却益 20

Business Structure (事業形態)

Q1: Ratification (追認)とはどういう意味ですか?vol.1

A1: 「ある行為が権限または能力なく行われた場合に、その行為を承認すること」です。

ひらたくいえば、「契約の効果帰属または効力を確定させること」です。

換言すれば、本来であれば自分に効果帰属しない、または、取消可能である契約を、それが締結された後に(追って)、それでもいいと認めることです。

法や契約等で別段の定めがある場合を除き、追認はどのような方法で行っても構いません。口頭や書面で明示的に行ってもよいですし、行為等により黙示的に行ってもいいですし、一定期間何もしないと追認があったとみなされることもあります。

Q2: Ratification (追認)とはどういう意味ですか?vol.2

A2: 追認(ratification)とは基本的に代理法の問題です。

要は、「無期限の行為を本人が承認すること」です。代理人の無期限の行為は、本来であれば本人に効果帰属しません。しかし、代理人が無権限で行った行為が本人に有利なものであった場合、本人は、代理人が無権限で行った行為を自己に効果帰属させることができます。

(事例)

Aは土地Wおよび土地Xの所有者である。Aは土地Wおよび土地Xを売却したいと考えた。そこで、AはBを代理人に選任して土地「W」の売却を委任した。BはCに土地「X」を1万ドルで売却した。土地Xの時価は5,000ドルであった。
Aは、Bによる土地Xの売却を追認し、Cに土地Xを引渡し、Cから売買代金1万ドルの支払いを受けた。

追認を行うか否かは、本人の任意です。本人はその自由意思に基づいて、追認を行うこともできますし、追認を行わないこともできます。

パートナーシップの場合は、パートナーシップそれ自体の意思、ということは観念できません(パートナーシップは法人であるからです)。したがって、パートナーシップが追認を行うか否か意思決定をするのは、他のパートナー(無権限の行為を行ったパートナー以外のパートナー)となります。事業組織法では、代理法にこのような修正が加わります。

Q3: 累積型優先株式とはどういう意味ですか?「累積型優先株式とは転換できる場合と出来ない場合があり、議決権がある場合と議決権を持たない場合がある」と理解すればいいでしょうか?

A3: まず、配当という観点からは、株式は大別して「普通株式」と「優先株式」に分類されることをおさえなければなりません。

優先株式は、普通株式に優先して配当が行われます。通常は、優先株式には議決権はありません。会社の経営には興味がないが、配当を多く得たいと思っている投資家は、優先株式を取得しようとします。

優先株式は、配当を行う方法によって、「累積型」と「参加型」に分類されます。

上記のとおり、「転換権」(ある種類の株式を他の種類の株式に変更する権利)は、優先株式の要件ではありません。優先株式の要件は、「他の種類の株式に優先して配当が行われること」です。それと引き換えに、議決権が制限されるのが通常です。優先株式に転換権を付けるか否かは、基本的に、発行会社の任意です。

Q4: 「債権者は引受価額の金額がきちんと会社に払い込まれている、という部分を見てお金を貸してもいいという判断をする。」と「株主が株式の引受価額の全部または一部を支払わない場合は、未払分を支払う義務を負う。」とはどう結びつくのしょうか?

A4: 次の事例を見れば分かりやすいでしょう。

X州では、X州会社法において「株式を発行する場合は、1株あたり5ドル以上で発行しなければならない。株式発行により得られた金銭のうち、最低でも1株あたり5ドルを資本に組入れなければならない。」と規定されていた。

X州でA社が設立された。A社は、設立にあたり、100株を500ドルで発行した。この株式は全てBが引受けた。Bは、株式の対価として100ドルしか支払わなかった。

A社は、Cに対して融資を申込んだ。Cは、「A社は100株を発行しているのだから、A社には少なくとも500ドルの資本金があるだろう。A社が債務不履行になっても、この500ドルくらいは回収できるだろう。」と考え、A社に200ドルを融資した。A社は倒産した。A社には、Bが株式の対価として支払った100ドルしかなかった。そのため、Cは100ドルしか回収できなかった。

Q5: 債権者と株主の違いが分かりません。「債権者は負債を通じた資源の提供者」とあるのですが具体的にはどのような人達の事を指すのでしょうか?債権者と株主を比較した場合は債権者の方が立場が上になるという事なのでしょうか?「会社が倒産しなくても常に債権者は存在する」という考えでいいのでしょうか?

A5: 債権者とは、会社に金銭を貸付けている人です。社債の保有者が代表例です。「会社に対する債権を有している者」といえます。株主は、株式を保有する会社の所有者です。「会社に対する持分権(所有権)を有している者」と言えます。

株主は、会社の所有者ですので、会社の経営に(ある程度は)参加することができます。例えば、株主総会で議決権を行使して取締役を選任することができます。
債権者は、会社に金銭を貸付けているだけにすぎませんので、会社の経営に参加することは出来ません。誰かから金銭を借りたら、何もかも貸主の言う通りにしなければならないか、というとそうではないのと同じです。

株主は、会社に利益がないと配当を受けることができません。会社に配当可能な利益がないにも関わらず配当を行えば、それは違法配当となります。
債権者は、会社に利益があろうがなかろうが、弁済を請求することができます。手元に金銭がないから弁済しなくてもよい、ということにはならないのと同じです。

会社の清算が行われる場合、まず会社の負っている債務が弁済され、債権者に対する分配が行われます。それでもなお余剰があれば、株主に対する残余財産の分配が行われます。

上記の差異は、債権者と株主という法的地位の差から生じるものであり、どちらが「立場が上」というものではありません。

「会社が倒産しなくても常に債権者は存在する」という趣旨が判然としませんが、会社が誰かから金銭を借りていれば、会社の債権者は存在しますし、会社が誰からも金銭を借りていないかまたは会社がその債務の全てを弁済したならば、会社の債権者は存在しません。

Federal Securities Act (証券法)

Q1: 特定の種類の持分証券の保有者が500名以上いる場合にSECへの届出書の提出を義務付けられる。とあるのですが、特定の種類とは一種類という意味なのでしょうか?

A1: そうですね。「特定の種類の持分証券」とは「1種類の持分証券」ということで同じ意味です。事例を参考にしてみてくださいね。

[事例]

A社は、優先株式と普通株式の2種類の株式を発行している。普通株主を保有する株主は500人である。
A社は、1934年証券取引所法の届出義務がある。
A社の優先株式を保有する株主の数は問わない。

この事例の「普通株式」が「1種類の持分証券」であり、「特定の種類の持分証券」です。

ちなみに、1934年証券取引所法上、SECに届出書を提出しなければいけない企業は主に2つあります。

1、Companies listed on national exchanges. (証券取引所で上場されている企業)

2、Companies traded over the counter whose corporate assets exceed $10 million and whose equity securities include a class with five hundred or more shareholders.

(店頭市場で取引しており、1,000万ドルを超える資産を持ち、1種類(特定)の持分証券に500人以上の株主がいる企業)

Secured Transaction (動産担保取引)

Q1: Consumer goods (消費者物品)の定義とは何になるのですか?

A1: Consumer goods とは「主として個人の家庭、世帯の用に供しているか、または供する為に購入する物品」と定義されます。

例えば、電機製品の小売店を経営する甲が扇風機を購入したとします。

1、甲がその扇風機を他に転売する目的で購入したとするならば、その扇風機は棚卸資産となります。

2、甲が自己の家庭で扇風機を使用するならば、その扇風機は消費者物品となります。

3、甲がその扇風機を他に転売するでもなく、自己の家庭で使用するのでもない場合(例えば、事業用として甲の小売店で使用するなど)は、その扇風機は棚卸資産でも消費者物品でもありません。あえて言うのであれば、非棚卸資産です。

問題文の中に扇風機を買った目的として「for its inventory」などと表記されていると、転売目的で購入している事が明らかですよね?問題文の中から消費者物品として購入しているのか、それとも棚卸資産として購入しているのかを判断出来るようになりましょう。答えは問題文の中に必ずあるはずです。

Q2: 資産と財産は別物なのでしょうか?

A2: 会計学とは異なり、法律学の分野では「Asset」と「Property」を厳密に区別しません。

財産権の対象であるという点では、両者は同じです。

Q3: 担保権が設定された場合は、担保権者と債権者は別の人物なのでしょうか?それとも同一人物なのでしょうか?

A3: USCPA 試験対策においては、「担保権者=債権者」と覚えておきましょう。

通常は、担保権者はすなわち債権者です。つまり、担保権者と債権者は同一人物ということです。そもそも担保権は債権の回収を確実にするためのものです。債権者が有しておかないと意味がないとも言えます。

※債権者に対する債権と、担保権者に対する担保権が、別の者に帰属する場合もあり得ないわけではありませんが、USCPA試験でそのような複雑な問題が出題されることは稀だと思うので、ひとまずは「担保権者=債権者」と覚えておいてください。

Q4: Automatic perfection のみでは、bona fide purchaser (善意の購入者) には対抗できないとあるのですが、これはどういう意味ですか?

A4: ご存知のように消費者物品の売買代金担保権は、登録等を行わずとも、設定と同時に完全化(自動的に完全化)します。

基本的に、自動的に完全化された消費者物品の売買代金担保権は、登録がなくとも、その担保権を第三者に対抗することができます。

これが基本となるルールですが、このルールには次の例外があります。

このルールの「第三者」には、「その消費者物品を、①有償で(対価を支払って)取得し、②その消費者物品を消費者物品として使用し、かつ、③その担保権を知らなかった者」は含まれません。

この例外の①~③をすべてみたす者は、自動的に完全化された消費者物品の売買代金担保権の対抗を受けません。

担保権を登録することはどうでしょうか?自己の担保権を登録するということは、誰もが「その担保権を知っている」とみなされることですので、担保権の登録を行えば、上記の例外の③の要件をみたす者は存在し得ません。

「Automatic perfection is not effective against bona fide purchaser for value who buys goods for consumer use.」

融資報告書(financing statement)を登録 (file) して初めて、自己の担保権を消費者物品の善意の購入者に対抗ができるのです。

Sales (売買)

Q1: 黙示の担保責任(implied warranty)において、傷害を受けた者は売主と直接の契約関係(privity of contract)は必要ではない。と勉強をしたのですが、具体的な状況がイメージできません。購入をしていない未だ契約関係にない者が、黙示の担保責任を根拠に売主に対して訴えを提起できるのでしょうか?

Q1: このような事例を考えてみてください。

甲はスピーカーの小売店を営む商人である。乙は甲のお店でスピーカーを購入した。乙は、自宅でスピーカーを使用していたが、だんだんと音が大きくなっていき、突然そのスピーカーが燃え出した。その時、ちょうど乙宅を訪れていた友人である丙がそのスピーカーの近くにおり、火傷をした。

丙は、甲の黙示の担保責任(implied warranty)に基づいて、甲に対して訴えを提起することができます。丙は甲からスピーカーを購入したわけではないので、甲丙間に直接の契約関係はありません。

しかしながら、売主の担保責任の追及は買主のみが行えるわけではありません。(直接の契約関係が必要であるわけではありません)

よって、丙は担保責任に基づいて甲に対して訴えを提起することができるのです。

Q2: 損害填補保証契約(indemnity contract)とは一体何なのでしょうか?「あらゆる保険契約はこのような内容の契約である」と参考書などには書いてありました。

A2: 次の事例を見てみてください。

[事例]

AとBは、以下の通り合意した。

・AはBに毎月20ドルを支払う。
・Aが第三者に対して損害賠償を行った場合、Bは、Aが第三者に賠償した金銭と同額の金銭をAに対して支払う。

その後、Aは交通事故を起こしCに傷害を負わせた。AはCに対して損害賠償として200ドルを支払った。Bは、AB間の合意に基づきAに対して200ドルを支払った。

という事例の、「AB間の合意」が「損害填補保証契約」です。
あらゆる保険契約は、損害填補保証契約(indemnity contract)です。

Business law (ビジネス・ロー)

Q1: Common law (コモン・ロー)は連邦コモン・ローと、州コモン・ローがありますよね?USCPA (米国公認会計士)の勉強で出てくるコモン・ローとはどちらのコモン・ローですか?

A1: ずばり、両方です。

通常、Common law (コモン・ロー)という場合は、連邦コモン・ロー(連邦政府の裁判所で形成されたコモン・ロー)と州コモン・ロー(州政府の裁判所で形成されたコモン・ロー)の両方を含んで「コモン・ロー」と言っています。

Q2: Statute (制定法) と Common law (コモン・ロー) の違いがよく分かりません。

A2: 法律には「憲法」、「民法」、「商法」などのように法典の形にまとまっているものと、そうでないものがあります。

法典の形にまとまっているものが「制定法(Statute)」で、そうではないものが「不文法」です。

よって、コモン・ロー(判例法)は、不文法となります。

例えば、「代理」はコモン・ローの話ですから、代理人の本人に対する義務は「何法の何条に書いてある」というものではありません。

Q3: オバマ大統領が行ったオバマケア?というのでしょうか、医療保険制度改革法(Affordable Care Act;ACA)について教えてください。

A4: オバマケアで定める医療保険制度改革法は、公的医療保険の加入を米国国民に義務付ける制度のことです。

ACAは、Health Insurance Marketplace を創設しています。そこでは、医療保険についての情報が提供され、個人は保険を購入することができます。

ただし、連続する12ヵ月間に最低330日、外国に滞在した合衆国市民、自宅の価値(FMV)は150万ドル相当額であるが、総所得が基礎控除額に満たない合衆国市民、投獄された合衆国市民は、加入義務を免除されます。

一方、メディケイド(低所得者向け国民医療保険制度)を普及させている州の居住者、直近4年以内に保険制度に未加入の納税者、何らかの理由でメディケイドの加入資格がない納税者は、ACAが定める公的医療保険の加入義務があります。

CPA’s responsibilities (CPAの責任)

Q1: クライアントの同意があれば、第三者にWorking paper (監査調書)の開示は可能だと思うのですが、クライアントが同意しても、CPAは所有権を有していることを理由に、第三者に開示することを拒否できるのですか?

A1: CPAはクライアント情報につき「守秘義務」を負いますので、第三者に監査調書(working paper)を開示するにはクライアントの同意が必要になります。

一方で、CPAは監査調書(working paper)の所有権を有していますので、クライアントから「第三者に開示してください」という依頼があっても、それに応じる義務はありません。

したがって、クライアントが同意しても、CPAは監査調書(working paper)を第三者に開示することを拒むことができます。

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